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産休・育休スタッフの穴を残されたチームの気合いで埋めない。組織として考えるべき代替の仕組み

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↑体調不良による当日欠勤に対するカナダと日本の空気感の違いについて書きましたが、今回は一歩踏み込んで、女性が多い職場では避けて通れない産休や育休、そしてその期間を支える雇用の仕組みについて、カナダの歯科業界のリアルな現実をシェアしたいと思います。

 

前置きとして、こちらも読んでもらえると嬉しいです。

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カナダでは、個人の小さな歯科医院であっても、スタッフが産休や育休に入る際はマタニティリーブカバーと呼ばれる期間限定の代替要員を雇うのが当たり前です。かつて衛生士が2人しかいないクリニックに勤務していた頃、私と同僚の出産予定日がなんと2ヶ月違いだとわかり...日本だったら職場の空気が凍りつきそうなシチュエーションですが、クリニック全体がおめでたいモードに包まれ、2人とも予定日2週間前まで勤務し、それぞれ1年間の産休、育休を取得して無事に復帰しました。その1年間は、契約衛生士さん2人が外から来て完全に我々のポジションをカバーしてくれました。(↓ちなみに、マタニティー用のスクラブも普通にあります。)

この仕組みがあるからこそ、誰も罪悪感を持つことなく休めますし、本当にカナダで働いていてよかったと心から実感しました。日本では未だに、誰かが育休に入ると残されたメンバーが気合いで現場を回す文化もあるようなので。産休、育休が制度としては存在していても、現場の運用が全く追いついていない印象が強いです。歯科はほぼ女性の職場であるにもかかわらず、この制度と現場のギャップが大きすぎるせいで、働く側は過剰に周りに気を遣わなければならず、結果として日本の衛生士の離職率の高さにも繋がっているのではないかと感じています。

 

日本では代替スタッフの派遣や契約雇用がなかなかうまく回らないのが現実のようです。できあがった人間関係に後から入るハードルの高さや、職場に残る独特な仲間意識。良く言えば団結力ですが、外の人間を簡単には受け付けない空気が、柔軟な雇用を阻んでいる面もあるかもしれません。仕事なのだからもっと割り切って気持ちよく働けるのが理想なのに、雇う側も働く側も、雇用には流動性があるという感覚が薄い気がします。退職金が出るわけでもない小さなクリニックでさえ、どこか終身雇用のような重い空気が漂い、円満退職をするために結婚や夫の転勤といった嘘をついて辞めることも珍しくないといいます。

 

一方でカナダでは、社会全体が代わりの人が来るものとしてシステム化されています。学校の先生ですら当然のように有給を取り、派遣を通じた日雇いの代替教員が日常的に現場を回しています。日本の場合は、時代の変化に合わせて法律や仕組みが追いついていない、という背景が大きい気がします。

 

歯科医師の世界でも、この流動性はごく自然なことです。私の同僚の歯科医師の奥さんは、キャリアのスタートが産休代替ポジションでした。また、産後もキャリアを継続するための女性院長たちの行動力(&経済力)には圧倒されます。私が最初に出会った院長は、産休中に代わりの男性歯科医師を雇い、数ヶ月後に復帰するとナニーを雇ってすぐに診療を再開していました。知り合いの矯正歯科医は、住み込みのナニーを雇って産後わずか6週間で現場復帰しました。その間の患者さんは、妹が経営する別の矯正歯科でカバーしてもらうという連携ぶり。予約の合間にナニーさんが赤ちゃんを連れてきて授乳したり、不在ならお昼休みに搾乳をしたり。

 

私が衛生士学校に通っていた時の同級生も在学中に出産し、旦那さんが育休を取得している間に本人は学校へ復帰。母乳を止める薬を飲んで完全ミルク育児にし、搾乳機持参で通学していました。ちなみにその子はNICUの看護師でありながら、なぜかさらに衛生士の免許を取りに来ているというバイタリティの塊のような人でした。

 

 

こんな感じで、個々の状況に合わせて様々な働き方や学び方を選択し、それを社会のシステムや外部のサポート(代替雇用やナニー)が力強くバックアップする土壌がカナダにはあります。日本の社会を見渡してみると、誰か(多くは女性)が家庭の全てを引き受けて犠牲になっているからこそ、男性が子供の病気や介護でも突発的に休まずに働き続けられ、職場での信用を得られるという構造がまだスタンダードなように見えます。いや、うちはそうじゃないよ、私の会社はそんな事ない、今はだんだん変わってきている、という方々もいるかとは思います。が、それはラッキーでしたね、としか言いようがないというか・・・国全体のレベルとしては、この問題はなかなか根深い課題だと思います。

 

もちろん、契約社員という形でサポートを補充する職場も存在すると思います。でも大切なのは、たまたま人が来てくれたではなく、代わりを雇うのが当然の組織運営ができているかです。規模や職種の大小に関わらず、欠員を外部の力で補う文化を標準化すること。最初から業務をクリアに分業化し、流動的な雇用を受け入れる。そんな風に現場のシステム自体が変わっていかなければ、女性が多い職場の本当の働きやすさはいつまで経っても訪れないのではないか、と海外の現場から強く感じています。

 

今回のテーマに関連する記事をまとめたので、よかったらのぞいてみてください。

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