歯科衛生士の仕事の事も書きたいなぁと思いながら、歯科の在り方自体が日本の保険診療のクリニックとは違うので、どこから始めたらよいのだろう?!と時間がたってしまいました・・・
まずは、カナダの歯医者事情から書こうと思います。歯科治療は国民保険ではカバーされないので、保険なしで自費か、勤めている会社や個人で加入している保険を使います。職種、会社によっては保険がない所もあります。保険の自己負担分、何がカバーされるかは契約内容によって様々です。歯科の治療費は州のFee Guide(診療報酬)に基づいていて、患者さんが受付で全額支払い、保険会社が後ほどカバーする分を患者さんに払う形になります。クリニックによっては、その場で保険会社がいくら負担するか分かる場合は、患者さんが差額を払う(保険でカバーされなかった分)事もあります。アルバータ州はガイドがないため、クリニックによって値段の設定が違うそうです。診療報酬といっても、日本とは一桁違います。日本から来た人によく誤解されていると思うけど、カナダが特別高いのではなくて、治療のクオリティーに影響するほど日本の診療報酬は低すぎなのです。
参考までに、こちらはバンクーバーがあるブリティッシュコロンビア州の2019年のFee Guideです。
例えば根の治療。現在1カナダドル=81.27円。前歯など、根が1つだったら$500ほど、奥歯で3つ根っこがあったら$1000ほど。難しい治療で専門医行となった場合は、専門医のFee Guideに沿ってもう少し治療費がかかります。そしてその後のクラウン(一般的なのはPFM)+技巧費用で$1000以上。クリーニングの場合、6か月毎に来る患者さんは、先生の検診、衛生士によるスケーリング45分まで、ポリッシュ、フッ素で$215。レントゲンはクリーニングの予約の時に、一緒にバイトウィング4枚を1年―1年半に1回撮るのがスタンダードです。
すべては治療費の差が影響していると思うのだけど、予約の取り方や歯科医と衛生士、アシスタントの働き方、お給料にも違いがでてきます。例えばカナダの歯科は、基本根の治療は1回で終了します。CR充填し、その後はクラウン(クラウンの処置は2回の予約)。日本の診療報酬なら、採算を合わせるため、滅菌やラバーダム、使い捨てアイテムなど患者さんの見えない所までしっかり手が回っていないのでは、と思わずにいられません。マスクは患者さん毎に交換、私は1人の患者さんでグローブを3-4組使います。まず、グローブをしてExtra oral exam(首などのリンパ線にしこりなどないかチェックします)→必要な場合はレントゲン撮影。センサーを滅菌ワイプで拭くので、診察前にもう一度グローブを交換。スケーリング、ポリッシュ後、フッ素のトレーを患者さんの口に入れている間に(現在はvarnishを使っています)、滅菌エリアで片付けたりグローブを外して電子カルテを記入したり。その後、新しいグローブでフッ素トレーを取ります。先生の検診が入るのでグローブを外し、患者さんの予約が終わった後、また新しいグローブをして滅菌ワイプでチェアー類を拭く、そして器具の滅菌。サクションのSaliva ejectorは北米はプラスチック製の使い捨てしかないので、これも患者さん毎に交換。等々・・・見えない所で、時間もお金もかかっているのだけど、なかなか患者さんには伝わっていないのではないかな?と思います。
まだまだ書き忘れている事もありそうだけど、アシスタントと衛生士の仕事内容も、後々紹介出来たらと思います。
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